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Szent Istvan Bazilika


by zimer
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新幹線での出来事。

火曜日から1泊で北関東へ出張、群馬と栃木の県境あたりをうろうろしてきた。まぁ知らない土地に行けたということだけだ。

19時50分東京駅発ののぞみに乗り込み、席に座った。移動ばかりでかなり疲れていた。席は16Dだ。

発車2分前、通路を前から見たことのある顔が歩いてきた。サバンナ八木だ。彼は15Bに座った。僕は咄嗟に高橋の姿を探した。15Aに座っているのがそうかもしれないと思い中腰で確認したが、それは全く違う人だった。八木がピンで東京に来てどうなるというのだ。

15Cはまだ空いていた。発車までに高橋が来るかもしれないなと思いながら僕はビールを飲んだ。しかし高橋は来なかった。15Cは空席のまま列車はゆっくりと発車した。そののぞみは品川に止まることになっていたので品川で高橋が乗り込んでくるかもしれないと僕は思った。

新幹線の中ではいつもどうでもいいことを考えてしまう。2時間30分は長すぎるのだ。窓から新橋駅が見えたあたりで、15Cに高橋よりもきんに君が来てくれることを望んでいる自分に気づいた。なぜか強烈に吉本筋肉品評会が車内で実現されることを望んでいた。

しかし品川で15Cに乗り込んできたのは普通のサラリーマンだった。八木はシートを最大に倒しiPodで音楽を聴いていた。いや、iPodかどうかはわからない。イヤフォンが白かっただけだ。

一体誰が15Cに座れば良かったのだろうとずっと考えていた。高橋が座ればそれを素直に受け入れられただろう。いろんな顔が浮かんだがもちろん答えは出なかった。答えなんかない。頭に浮かんだ中で一番確からしいイメージはリットン水野だった。この組み合わせなら八木がすごく活き活きするような気がした。

そんなことを小田原くらいまで考えていたが、急にあほらしくなって止めた。僕は読書に集中することにした。結局、誰も八木に興味を示していないのだ。

京都を過ぎて窓に雨が当たる音に気づいた。ずっと本の世界に入っていたことに加えて京都である程度乗客が降りて車内が幾分静かになったからだ。傘を持っていなかったので窓から外の様子を伺っていた。水無瀬あたりで小さなボリュームで音楽が聞こえてくるのに気づいた。誰かの音楽が漏れ聞こえているのだ。僕は周りを見渡したが、音楽を聴いているのは八木一人だった。

"it's automatic"

宇多田ヒカルのファンのようだった。やはり使っているのはiPodだった。八木は新大阪駅の雑踏の中へ消えていった。
by zimer | 2006-02-23 00:58 | Everyday life